技工士国家試験の内容
河田大人こども歯科クリニック、院長の河田です。
今回は前回の続きとして技工士国家試験についてお話したいと思います。
歯科技工士国家試験は、筆記試験と実技試験からなります。
筆記試験はマークシート形式です。入れ歯や被せ物についてだけでなく、金属などの歯科材料の性質や加工技術、口腔内の解剖など幅広い知識を問われます。
実技試験は、歯のスケッチ、矯正装置をイメージした針金まげ、歯の彫刻の3つです。
筆記試験対策
筆記試験対策はそこまで苦労はなかったです。歯科医師国家試験と比べると範囲は狭く、勉強済みの内容ばかりだったので、過去問を解くだけでした。
実技試験対策
実技試験対策は時間がかかりました。本来、専門学校で学びながら、実技の腕をあげていくものですが、私の場合は独学で対策しなければいけません。
もちろん歯医者と技工士さんの仕事で共通する部分は多くあります。仮歯を作ったり、入れ歯を修理したり、針金を曲げたり。でも日常臨床とは違う技術も、技工士の国家試験では問われます。
一番時間がかかったのは歯の彫刻でした。
石膏の棒をナイフで削って、歯の彫刻を行います。
歯は親知らずを除いて、28本あります。左右は対象になっているだけでほぼ同じ形なので、14種類の彫刻をできるようにならないといけません。(出題基準には乳歯も含まれていますが、まず出ないとのことでした。)
試験当日に歯の種類を指定され、見本なしで彫刻するという形式です。
毎日、20人以上の歯を見ているので、ある程度は形を覚えているのですが、いざ石膏棒を削って歯を掘り出すとなると、細かなところが分からず、難しいものでした。
毎日1本を目標に練習をしていきました。最初は2時間ほどかかったものが、だんだん早くなり、だんだん上手くなり、30分ほどで彫刻できるようになりました。
右の写真は、実際に私が削った石膏です。写真を見直してみると、上達の跡が見て取れます。
最終的に50本以上練習をしました。
国家試験対策で得られたもの
現在、技工士免許がないとできない仕事はやっていないので、直接的に技工士免許が役立っている訳ではありません。(法律上、技工士さんの仕事のほとんどは歯科医師免許があれば行って良いとされています。)
ただ、技工士になるために練習した実技は日常診療で非常に役立っています。
特に歯の彫刻で歯の細かな形を覚えることができました。虫歯を削って詰める時も、短時間で綺麗は形を作ることができますし、仮歯も歯と同じように溝をつけることができます。
入れ歯の針金もすぐに曲げられるようになりました。型をとって入れ歯を預かってなどする必要はありません。その場で簡易的な針金であれば曲げることができるので、曲げて入れ歯に組み込めばその日から使えるようになります。
被せ物の削り出しをする時も、型をとる時も、技工士さんの気持ちがわかるので、どうすれば作りやすいかがわかるようになりました。作りやすい模型の方が、絶対にいい被せ物ができます。
セミナーやスタディグループの懇親会でも話題の一つになりますしね。
とてもいい経験だったと思っています。
次回は、保育士を目指したきっかけについて投稿しようと思います
最後まで読んでいただきありがとうございました。