河田大人こども歯科クリニック、院長の河田です。
今日はスタディグループの勉強会に参加してきました。
2か月に1回の勉強会で内容は英語の歯科論文の抄読です。歯周病の論文と歯内療法の論文を読みます。そしてその論文をどう解釈するかを解説していただく勉強会です。とても有名なお二人の先生がわかりやすく解説していただけるのでとでも勉強になります。
今回は歯内療法の論文の内容についてお話ししたいと思います。
少し専門的な話になりますがあらかじめこ了承ください。
MTAセメントという神経の治療に使う材料があるのですが、その粒子を小さくすればどういう臨床効果があるかという論文です。ベーグル犬を用いた動物実験ですね。
MTAセメントとは
ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、酸化ビスマス、などを主成分とする、歯科用の白い粉です。水で固まります。
大きな特徴は生体に非常に親和性が高いことです。体に対して刺激が非常に少ない。
神経を残す処置や、外科的な神経の治療に用います。
そして高い。1グラム1万円ほどします…。
このMTAセメントは非常に扱いが難しいです。本当にパサパサで扱うのにコツが入ります。また、プロルートMTAというよく使われているセメントは、固まるのに5時間ほどかかります。
セメントの粒子を小さくすれば固まる時間が短くなります。(MTAセメントは水と反応して固まります。粒子が小さくなると表め面積が大きくなり、水と触れやすくなるためです。)
論文の内容
この論文は、従来のMTAセメントと、粒子を小さくしたMTAセメントを比較しています。治療内容は外科的な神経の治療(歯根端切除術)です。小さくしても従来のMTAセメントと同等の効果が得られるかどうか、ベーグル犬の歯を使って実験しました。
治療を行い、組織切片を作り顕微鏡を覗いて診断しました。
結果は、炎症や細胞、治癒、周りの組織、全てで同等の効果が得られた、というものでした。
粒子を小さくすると、固まるのが早く扱いやすくなる上に、効果も同等なのでいいでしょ、と言いたいわけですね。
ただ、ベーグル犬の研究なので人ではどうか検証が必要。また従来のMTAセメント7ケース、粒子の小さいMTAセメント15ケースしか研究していないので、数が少ない。たまたま、という可能性もあるので、この結果を鵜呑みにすることはできないです。
日々、こういう研究を繰り返しながら、歯科材料は開発、改良をされています。
いろんなメーカーから、いろんな材料が発売されますが、その良し悪しを判断し、有効活用できるように日々勉強の毎日です。
次回はもう一枚の論文、について投稿する予定です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。