歯科医師兼歯科技工士
私は歯科医師免許だけでなく、歯科技工士免許も持っています。卒後に勉強して技工士免許を取りました。
もともと技工士で歯科大学に入り直して歯医者になる人はたまにいますが、歯医者が歯科技工士免許をとるケースは非常に稀です。
なぜ技工士になったかについて2回に分けて、自己紹介がてらお話ししたと思います。
歯科技工士とは
歯科技工士会のホームページには
歯科技工士は、歯科医療の一端を担う医療技術専門職です。歯科医師の指示書にしたがって、入れ歯、歯の被せ物、歯の詰め物、矯正装置などの作成や加工、修理を行います。
と書かれています。歯科医院で型を取られた経験がある人もいるかと思います。歯科技工士はその型から模型を作り、被せ物や装置を作成する専門職です。
歯科医療も分業制になっており、ほとんどの場合、歯医者が治療をして、技工士が装置を作っています。
分業のメリット
分業のメリットはとても多いです。技工士さんは、質のいい装置を短期間で作ってくれます。
例えば銀歯を作るには複数のステップを要します。その時、1本ずつ作るより、3本4本同時に作る方が圧倒的に効率がいいんですね。なので技工士さんは複数の歯科医院から発注を受けて毎日たくさんの装置を作っています。
技工士さんは歯科医療の大きな一端を担ってくれています。私も歯科医師の一人として、技工士さんにはいつも本当に感謝しています。
そして、質の高い治療をするためには、腕のいい技工士さんとのコラボは必須です。
分業の限界
歯医者と技工士はしっかりコミュニケーションを取っています。特に、腕のいい技工士さんは、歯医者の意図を読み取ることが上手で思い通りの装置を作ってくれます。
でもどうしても言葉では伝え切れない感覚的なものもあるんですね。
歯医者が歯を削る時その1本の歯しか見ていないのではありません。隣の歯や周りの歯、噛み合わせとなる歯、ギシギシ歯軋りしたときの顎の動き、顔との調和、歯の揺れ、歯のすり減り具合。本当にたくさんの情報を判断して歯を削っています。こういう情報を完璧に技工士さんに伝えることは不可能です。歯の色だって写真を撮るのですが、その時の天気や光の強さまで伝えることは難しいですからね。
それでも技工士さんは職人芸で分からないはずの情報を経験で補完して良いものを作ってくれます。
歯科技工士免許をとるきっかけ
歯科医師として診療をしていて、ある時、ふと思いました。
技工士さんの職人芸に頼りすぎているんじゃないか?技工士さんを困らせているのではないか?
自分ができないような技術を技工士さんに求めて良いのか?
たまたま当時勤めていた歯科医院は院内に技工士さんがいて、装置を作っていたので、自分の患者さんの銀歯をつくらせてもらいました。休日出勤して半日かけて作ったのですが、不恰好な銀歯になってしまったので、結局、技工士さんに手直ししてもらいました。
長くなったので、今回はここまでにします。
続きは次回投稿します。
最後まで読んでいただきありがとうございました。